同店の味の裾野の広さをまざまざと実感させられた。岩手県ほろほろ鳥だしのラーメンをオーダーし、提供までの待ち時間は5分程度とスピーディーだった。恭しく眼前へと供された丼を視界に捉えた瞬間、視線が丼に釘付けになった。麺線が一本たりとも乱れることなく美しく揃えられ、箸を付けるのも惜しまれるほど端整なビジュアルだった。
スープは重厚で膨らみ豊かなほろほろ鳥の滋味が凝縮されたフルボディの味わい。随所に導入されたフレンチの技法が味わいに奥ゆきを与え、カエシのうま味の厚みも絶妙なさじ加減だった。自家製麺もスープに勝るとも劣らない会心の出来映えで、繊細な細ストレートでありながらやや固めに茹で上げ、サクッと軽快な食感を創出することでスープに埋没しない毅然とした存在感を演出していた。
トッピングにも手抜かりはなく、生産者の顔が見える鮮度の高い素材が惜しげもなく使われていた。同行者が注文した函館ホタテだしの塩ラーメンのスープも貝柱という素材が有するうま味を極限まで活かし切った絶品だった。
卓越しているのは、味だけではない。居心地の良さが徹底的に追求された空間から入店から退店まで一切の乱れがない接客まで飲食店としてすべてがパーフェクトだった。静岡ラーメン食べ歩きの1軒目としてこの店をチョイスするのは大いにアリな選択肢だと思う。


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